賃貸住宅の管理業務の法律(その1)

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律

令和2年6月、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(以下、賃貸住宅管理業法)が制定されました。
不動産を所有されているオーナーさまで、近い将来サブリース会社を介して集合住宅の建築を考えられている方など、オーナー様の目線からも知識としてアップデートして頂ければと思います。
まず、この法律は、大きく2つ柱で構成されています。

① 管理業を営む者についての登録制度の創設
・賃貸住宅管理業法について、賃貸住宅管理業者の登録制度を取り入れ、一定の事業規模以上で賃貸住宅管理業を営む為には、国土交通大臣登録をうけ、業務の規律を守らなければなりません。

② サブリース事業規制
・サブリース事業の適正化の為の制度として、賃借人とサブリース事業の適正化の為の制度として、賃貸人とサブリース業者特定転貸事業者と定義したうえで、誇大広告等の禁止不当な勧誘等の禁止重要事項説明や締結時書面交付の義務付けなど、特定賃貸借契約の勧誘と契約締結行為について規律を定めました。


サブリースとは:賃貸物件における管理形態の一つで、一般的に所有者が所有物件を賃貸する際、借主と直接賃貸借契約を交わします。賃貸の際に行うべき物件の管理や運営業務を、自らの手で行う必要があるのです。サブリース契約では、不動産会社が物件の所有者から不動産を借り上げます。不動産会社が物件の借主と賃貸借契約を交わして物件の管理や運営業務を行うことから、サブリース契約の場合には、物件オーナーの業務に関する負担は大きく軽減することになります。

もっと分かりやすく、賃貸管理の現場において委託管理の状況は大きく分けて下記の2パターンに大別されます。

受託管理のみ:管理契約

「賃貸住宅管理業の登録」 について
委託を受けて賃貸住宅管理業務(賃貸住宅の維持保全金銭の管理)を行う事業を営もうとする者について、国土交通大臣の登録義務付けました。※管理戸数200戸未満の者は任意

「賃貸住宅管理業者の義務における義務付け」について
業務管理者の配置:事務所ごとに、賃貸住宅管理の知識、経験などを有する者を配置
管理受託契約の重要事項説明:具体的な管理業務の内容、実施方法等について書面を交付して説明する
財産の分別管理(管理する家賃等について、自己の固有の財産等を分別して管理
定期報告:業務の実施状況等について、管理受託契約の相手方に対して定期的に報告

サブリース(借上げ)方式:管理契約


「不当な勧誘行為の禁止」
サブリース業者・勧誘者による特定賃貸借契約(マスターリース契約)勧誘時に、家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げず、又は不実を告げる行為の禁止
「誇大広告等の禁止」
マスターリース契約の条件について広告するときは、家賃支払、契約変更に関する事項等について、著しく事実に相違する表示、実際のものよりも著しく優良・有利であると人を誤認させるような表示を禁止
「特定賃貸借契約締結前の重要事項説明」
マスターリース契約の締結に、家賃、契約期間等を記載した書面交付して説明

サブリース事業の適正化を図るためも規律の適用対象


サブリース物件を取得する際に、取得者の6割が、不動産業者または建設会社勧誘を受けています。しかし、他方、賃貸人(家主)がサブリース業者と契約を締結するにあたって、将来の家賃変動の条件賃料減額のリスク等の契約内容の説明がなされたケースは6割程度にとどまっています。

実際にサブリースにおける家賃保証に関してが、賃貸人(家主)とサブリース業者の間などにおいてトラブルが多発しています。

サブリース会社がサブリース事業を適切に実施する能力を有していないにもかかわらず、建設会社や住宅販売会社等と連携して、一括管理・家賃保証が行われるとして賃貸住宅事業の実施を誘引し、その際に適切な説明を行うことなく、賃貸住宅経営に伴うリスクを賃貸人(家主)に誤認させ、契約を結ばせたことによって被害が拡大したものとみられています。

特定転貸業者に加え、特定賃貸借契約の勧誘を行うものを含めて、広く規律の遵守の義務がかせられます。誇大広告等の禁止不当勧誘等の禁止も、勧誘者に対しても、遵守が義務付けられました。

専門的な知識、行動力が無ければ、賃貸住宅において、問題にたいして検討し適切な対応をとることは出来ません。賃貸住宅管理について管理業者の質を高めることは、社会問題に対する適切な対応をとるうえでの基盤をなすものになります。

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