サブリース契約の闇、ホントの問題点とは
前回紹介した、賃貸不動産管理のある一定の業務、管理戸数を運営する管理会社、サブリー
ス会社の登録制、賃貸不動産経営管理士の設置、管理契約における重要事項説明の義務化などお話ししましたが、近年一番問題になっているのが、所有者(家主)とサブリース業者とのトラブルになります。
マスターリース契約のトラブルが全国的に多くなってきており、具体的にどういうトラブルが多いのか、また、そのトラブルの根底にある法律についてのお話、そして、私なり考えをご提示します。
まず、本題に入る前に、マスターリース、サブリース契約について、知りたい方は、こちら
サブリース契約の実際の現場のトラブルで良く耳にする、代表的なものを紹介します。
「保証額が急に下がる」
補償額が急に下がると、転借人が退去してすぐ新しい入居者が決まらないとサブリース業者は大赤字です。
業者が運転資金に余裕があればいいですが、無い場合は保証額の引き下げ交渉をされたりな
ど、一方的に保証額を引き下げられたなど、良く聞く話です。
マスターリース契約の営業をするときというのは「家賃保証」という言葉を使うので、所有
者が同じ家賃が保証され続けるという誤解を生みやすいかったと言うのがトラブルの原因で
す。新しい指針では、保証という言葉を安易に使用してはいけないとなっています。
「解約に応じてくれない」
所有者(家主)の立場なら、保証家賃額下がるんだったら解約しよう思うのは当たり前ですね。
その旨を業者に伝えると今度は、業者から解除は出来ませんと言われるんです。
これって、恐ろしいですよね。補償額は下がるし解除は出来ないなんて。
「当社(サブリース業者)は、賃借人にあたりまして、マンションやアパートの住人と同じ権利があります。借地借家法28条により賃貸人である所有者からの解除には正当事由が必要です。しかし、この正当事由は法的にはほとんど認められないので、解除はできません」
さて、サブリース業者はどういう根拠で契約の解除を拒否するんでしょうか?
これは、サブリース契約を知る為の大きなポイントになります。ポイント①:借地借家法28条
建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
※財産上の給付とは 一定のお金を支払ってという事(所有者がサブリース業者にお金を払ってという意味)簡単に言えば解約金・違約金を払うこと。
ポイント②:正当事由とは
この正当事由について、裁判でよく争われますが、事例の中でも保証家賃額の引き下げについて正当事由とする事は、中々認められていません。上記のように、所有者(家主)が解約金・違約金を払ったとしても、サブリース業者が自発的にそれを認めてくれればいいのですが、
それを認めずに、裁判で争うという事になれば、所有者(家主)が負ける可能性があります。
例えば、貸した部屋を自分が使いたい、または、家族が使いたいと言う理由を正当事由とし
て契約解除を促しても、サブリース業者がそれを拒否したら、それはなかなか難しいでしょう。
これからも、分かる通り賃借人がかなり保護されています。それが、借地借家法になります。
契約の本質部分を所有者(家主)が理解しない状態で契約してトラブルになる事例が多くなったので、マスターリース契約をする場合は、事前の重要事項説明をすることが、義務化されたという流れです。
ちなみに、サブリースとよく比較されるのが、管理受託方式です。(管理委託契約)
これは、所有者(家主)が、業者に管理を委託しているだけ、マスターリース契約のように所有者(家主)から、借りてるわけではないので、単に委託を受けている業者という形になりますので、賃借人も転借人ではなくなりますので、いわゆる又貸し状態ではなくなり借地借家法が適用されず業者は、所有者(家主)の意向を拒否できなくなります。
サブリース契約と異なり、入居中の部屋だけの管理手数料を所有者(家主)は、業者に支払うという形になります。
所有者(家主)が負担する金額は、サブリースより管理受託方式の方が、安くなります。
そのように考えると、一つの答えは、何年経っても賃貸需要が下がらない都市部に関しては、サブリース、管理受託方式どちらを選んでもいいかもしれません。
特に、所有者(家主)が自ら不動産屋に出向き自己物件のリーシングに行動力をもって、注力できる方は、管理受託方式で利益を最大化させるのも宜しいかと思います。
全て業者に任せたい所有者(家主)は、サブリース業者が解約したくないようなエリアで、物件を建築、購入する必要があります。業者は、末永く利益を継続して計上できる物件に関しては、契約を離さないからです。
逆に、郊外の物件を建築、購入する場合は、言うまでもなく利益重視で考える場合は、家賃の下落率が高いので厳しいと言わざるをえません。
相続対策としても、相続を受けた親族が家賃収入を貰う頃には、この少子高齢化社会を考えると、入居需要が少なく、時代にあうようなリフォームなどが必要になり、出費もかさむでしょう。
不動産屋が、よく仲間内で話をする、郊外高利回り物件はババ抜きみたいなもので、入居者の属性を考えず、とにかく入居をさせて、売り抜けるという状況です。
最終に、そのババを引くのが、あなたにならない様に、一緒に情報を共有できたらなと思います。