消防点検、何が必要??


消防設備点検とは、消防法第17条に定められた法定点検制度です。専門知識を持った有資格者が定期的に点検を行い、建物を管轄する消防署や出張所に点検報告書を提出しなければなりません。
普段、人が働くオフィスには、スプリンクラーや消火器、煙感知器、火災報知器など、さまざまな防災・消防設備が設置されている。これらは有事の際に人命に関わるため非常に重要であり、有事の際に作動しなかった場合、大事故につながることが懸念される。実際、2001年に新宿歌舞伎町の雑居ビルで大火災が発生し、多数の死者が出たような事例も過去にある。

また、報告義務を怠る罰則があります。
前述のとおり、消防設備点検は、消防設備士や消防設備点検資格者などの専門家の立会いのもと、定期的に実施し、関係機関に報告書を提出しなければなりません。報告書が提出されない場合は、消防法第44条に基づき、立入検査等の指導が行われる。それでも報告書が提出されない場合は、30万円以下の罰金または拘留となりますので、必ず消防設備点検を実施しなければなりません。

消防設備点検が必要な建物とは
消防設備点検は、義務なのか?任意なのか?報告や記録が必要な建物で、消防設備点検が義務付けられているのは、次の条件を満たす建物です。

特定防火対象物の延べ床面積が1,000㎡以上の建築物
延べ床面積とは、建物の各階の床面積の合計です。1,000㎡というと面積が広いように感じるかもしれませんが、この条件は雑居ビルや一定の階数やフロアを持つ商業施設に適用されます。
特定防火対象物には、劇場、映画館、ナイトクラブなど風営法が適用される娯楽施設のほか、老人ホーム、病院、保育所などが含まれます。これらの施設は、不特定多数の人が出入りするため、火災時に円滑な避難が難しく、危険性が高い建物になります。  地下街、百貨店、ホテル、旅館なども防火対象物とされています。
特定防火対象物は、後述する非特定防火対象物と比較して、点検報告の義務や設置する設備が異なります。

非特定防火対象物 延床面積が 1,000 ㎡以上の防火対象物で、消防長又は消防署長が指定するもの。
非特定防火対象物とは、工場、事務所、倉庫、共同住宅、学校などの施設の事です。これらは特定防火対象物ではありませんが、所轄消防長又は消防署長が必要と認めた場合は消防用設備点検が義務付けられています。ただし、特定防火対象物以外でも消防用設備点検は安全管理上不可欠であるため、基本的には一定の延べ床面積を有する建築物について点検が必要とされている。

特定防火対象物で屋内階段が1箇所しかないもの
延べ床面積が1,000㎡未満であっても、屋内階段が1つしかない場合は、消防用設備等の点検も必要となります。避難経路が1つしかないため、緊急時のリスクが高まる可能性がある物件になります。
上記の条件を満たさない防火対象物については、防火管理者等が設備点検を行うことは可能ですが、ただし、点検時の安全性を考慮し、基本的には有資格者による点検を推奨しています。

消防用設備点検の報告頻度は?
消防用設備点検は、特定防火対象物については「1年に1回」、特定防火対象物以外については「3年に1回」実施し、報告しなければなりません。定期点検報告書は、建物の用途、規模、構造等に応じていずれかの頻度で提出する必要があります。

上記はあくまで「報告頻度であり、後述するように実際の消防設備点検自体は年2回程度実施する必要がある。

実施すべき消防設備点検の種類
ここでは、実施すべき消防設備点検の種類について説明します。消防設備点検は、「設備点検」と「総合点検」に大別されます。

※機器点検
機器点検は、半年に1回必ず実施しなければならない項目です。消火器などの消防用設備が適切に作動しているか、外観、設置場所などを点検します。その際、簡単な操作で正常に作動するかどうかもチェックされる。
消火設備のほか、施設によっては火災報知設備、非常用電源、配線、誘導灯なども点検の対象となる。

※総合点検
消防用設備等の機能を確認するため、年1回、総合点検を実施しています。実際に機器を操作して、総合的な動作確認やエラーチェックを行う。年2回の設備点検とともに「年2回の点検が必要」になります。

消防点検報告の流れ
消防設備点検は義務か任意なのか?報告・書類の作成が必要な建物の解説や消防設備点検の要件、概要、頻度が整理できたところで、引き続き消防設備点検から報告までの大まかな流れを説明します。

まず、消防設備点検は、消防設備業者などの有資格機関に依頼します。消防署が直接点検を請け負うわけではありませんのでご注意ください。そして、依頼を受けた消防設備業者などの有資格者が建物を訪問します。その際、必要に応じて関係者の立会いも必要です。
点検終了後、有資格者が作成した点検報告書を所轄消防署(または出張所)に提出します。窓口での受付のほか、郵送も可能です。点検の結果、異常や不良箇所が見つかった場合は、速やかに修理しなければなりません。検査会社の情報は地域によって異なります。事前にインターネット等でご確認ください。

報告書の作成・提出方法
報告書は所定の様式に従って作成する。雛形ファイルは(財)日本消防設備安全センターのホームページなどから入手できます。

必要書類は主に4種類あります: 「消防用設備等点検結果報告書」、「消防用設備等点検結果概要書」、「消防用設備等点検者名簿」、「必要設備点検票」の4つである。ただし、法令や総務省消防庁からの通知等は随時変更されますので、点検・報告書を作成する都度、最新の情報を入手するようにしてください。

点検結果の報告・提出先は、建物の管轄によって異なり、基本的には住所ごとに指定された消防署に提出します。郵送の場合は到着後1~2週間程度かかります。
書類の不備や配送事故、必要書類の記入漏れなどがあると、誤った手続きが行われることがあるので注意しましょう。

おわりに
今回は、意外と知らない消防設備点検の内容や基準、頻度、報告方法などについて詳しく解説しました。普段の生活ではあまり意識することのない消防や防災ですが、多くの人が行き交う環境では非常に重要です。消防設備は、"いざ "という時に命を守るための重要な要素です。
防火対象物の大きさや用途によっては、無資格者でも消防設備の点検や通報ができる場合があります。規模や用途により有資格者による点検が必要な場合は、お近くの消防設備点検業者にご相談ください。

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